R7.12月 園だより

 令和7年  12月1日  NO.707  山本 洋子
 今年も残り1か月を過ぎました。毎日、冷え込んでいますが、冬は空気が澄んでいて夜空の星がとても綺麗に輝いて見えます。ぜひ、子どもたちと冬の夜空を眺めてみてくださいね。

今年度のおたのしみDAYのテーマは、もりくま~あきのえんそく~でした。春の親子遠足を経て、秋の遠足を、ごっこ遊びを通して体験することはできたでしょうか。
遠足といえば、私も家族で行ったキャンプを思い出します。ある年、なかなか家族の予定があわず、「この日しかキャンプに行けるチャンスがない!」と思い、キャンプ場を予約しました。しかし、その日は、天気予報を見ると、雨予報です。そこで、緊急家族会議が開かれました。そもそも、雨の日にテントは立てられるのか、テントの中で眠れるのか、キャンプを始めたばかりの私たちには、ハードルが高すぎるのではないか、とデメリットしか出てきません。そして、私は、保育園の雨の日の行事の後で、きれいに元に戻すことの大変さを経験しているので、それが何よりも心配でした。しかし、主人は、「やってみなきゃわからないよ。大人が頑張るだけでいいんでしょ」と話すのです。そのため、まずはやってみようという気持ちになり、そのまま決行することになりました。

 当日は、午後から雨が降り出しましたが、とくに濡れることもなく、順調に眠りにつくことができました。しかし、そのまま順調に終わるはずもなく、ここからはハプニングだらけです。降り続く雨で、テントの下は水が溜まり、完全にウォーターベットのようです。そして、テントの真ん中だけ、雨漏りをしていたようで、その下に眠っていた息子(三男)がひとりだけ全身びしょ濡れで、私たち家族は困惑と共に爆笑です。タープの下での朝ごはんも、雨が横から入ってくるため、これまた大騒ぎです。そして、テントをたたむ際も、家族全員びしょ濡れです。でも、なぜかそのハプニング続きの大変さがおかしくて、家族みんなの笑顔が絶えませんでした。次の日、私と主人はまた、自宅の庭に時間をかけて、テントを立てて乾かしました。前日の疲れもまだ残っていましたが、後悔はなく、むしろ清々しい気分でした。きっと、達成感や満足感があったからでしょう。雨の日のキャンプは、もっとたくさんの準備が必要だと学びになり、そして何よりも、ハプニングが家族にとって、忘れられない楽しい思い出になりました。
最近は、タイパ重視の傾向で、時間がかかることや、無駄なことは選ばない方々が多いかもしれません。私も、正直、大変なことはできるだけ避けたいと思っていました。でも、この無駄かもしれないことや大変な時間こそ価値があって、子どもたちにとってたくさんの学びや経験につながっていくのではないかと思います。だからこそ、大人が大変な役回りを買ってでも、ぜひ子どもたちと遠回りや、険しい道なども、楽しんでみませんか。そして、その一緒に歩んだ道が、子どもたちの健やかな成長や豊かな人生につながっていきますようにと、私たちは願っています。


 教育的断片   令和7年12月  須藤孝也
先日は、O・F・ボルノウの『教育を支えるもの』という本を読んでみました。
その第一部の第一章は「子どもの被(ひ)包感(ほうかん)(包まれている感覚)」と題され、その第一節は「母への信頼」となっています。その冒頭には次のように書かれています。「子どもから見て、教育を支える一連の雰囲気的条件の最初に位するのは、子どもを保護する家庭環境である。そこには、信頼され、安心感を与える者から放射される感情がみちている。子どもがそこでいだく信頼の感情は、すべての健全な人間的発達にとって、したがってまた、あらゆる教育にとって、まず第一の不可欠な前提なのである。このような雰囲気の中でのみ、子どもは正しい発達をとげることができ、そしてこのような雰囲気の中心からのみ、子どもに対して、世界は意味をおびたその秩序を開示してくるのである。これに反して、上述のような被(ひ)包感(ほうかん)が欠如しているばあいには、世界は子どもに脅迫的に迫ってくる恐ろしい力であり、もしどこかで彼にそうした被(ひ)包感(ほうかん)が再びあたえられないならば、子どもは人生への意志を失い、希望もなく萎縮するにちがいない」。子どもは絶対に、不安ではなく安心のうちに生きるのでなければならない。これに続けて、ボルノウは、この信頼がなければ、すべての教育も学びも成り立たないと、論じていきます。
 ニュースをみていると、国内でも国外でも、狂気の沙汰かと思われるような出来事が連日起きているようです。こうしたことは何も今にはじまったことではなく、ずっと前からそうなのかもしれません。大人たちが繰り広げる世界は、決してちゃんとしたものではなく、とても歪んだものになってしまっていて、正気や良識のありかではまったくなく、むしろそれらを破壊するもののように思われます。私は、人間の「正気」や「良識」はどこにあるのか・・・と考えてしまいます。私にはどうもそれは親子関係にあるのではないかと思われるのです。もし親子関係がなかったとしたら・・・おそらく世界は容易に正気を失い、一瞬にして狂気の世界へと転落していってしまうのではないでしょうか。多様性ばかりが喧伝され、それに連動して何が真理かがわかりづらくなっている現代において、私たちはなにを道標に生きていけばよいのでしょうか。今こそ子どもとの関係にある「まともな感情」を中心にすえて、道を見失わずに歩いていくよりほかないように思います。

今月の絵本
まどから★おくりもの
五味太郎〇しかけ絵本

姉妹園

子民家のあるあいの保育園

“生かせ 命”

申孝保育園

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