R8.1月園だより

令和8年  1月1日  NO.708 須藤 真悟
 
 年が明け、また新しい年が始まります。4月にも心を新たにしたはずなのに、性懲りもなくまた心を新たにしようとする私がいます。どうして、毎日、新しく生きられないのだろうかと思います。昨日に囚われ、明日に目がくらみ、右往左往しています。
 しかし、子どもはというと、毎日が新年の元旦のようにみずみずしく、新鮮に見えます。昨日という過去や明日という未来にではなく、「今」に生きていると言っていい。ルソー以前の子どものイメージは「未熟で、無知で、弱く、守られる対象」でした。現代ではむしろ、大人のイメージが「未熟で、無知で、弱く、守られる対象」となってしまったように思います。
 それゆえになのだろうか?保育指針のなかにも、保育士に求められるものは知識技能だけでなく、保育者の倫理観や人間性であると書かれています。保育学の先人たちの中にはクリスチャンも多く、聖書からの引用もしばしばみられます。その中でももっともみられるのは、「作為の否定」についてです。「報われるからやる。報われないならやらない」「天国に行くために奉仕活動をする」「やってあげたのに感謝がないじゃないか」「みんながやるならやる」などの、(神との)取り引きで何かをすることのあさましさについて語られることが多いのです。つまり、取り引きなしの、条件のつかない、実践される行為、が子どもとの関係では重要であると問われるのです。それはそうだろう。取り引きや条件つきでしかつきあえない者を、子どもは信頼などしないのだから。ただ、人間性を問われるかかわりは難しい。
 それだからだろうか、先人たちはいつも祈っていた。「大人である自分は、未熟で、無知で、弱い。そんな弱い自分が道を踏み外さず歩むために、(神よ)見ていてください。それにより、奇跡の力(弱い自分が歩めるということ)が湧いてきますように」と。作為のない全力の状態は「無我夢中」と言ってもいいでしょう。そして、「私のすべて(保育にかけたもの)を、あなた(神または子ども)にゆだねます」とつけ加えます。善かれと思ってしたことが、最終的にどうなるかを我々はわからずに行っていることがほとんどだからです。つまり、子どもの育ちや未来をすべてコントロールなどできないが、一切の手は抜かないことの宣言でもあります。「人事を尽くして天命を待つ」と言い換えてもいいでしょう。
保育園が「無我夢中」でなければ、子どもは退屈でしょう。保育園が「人事を尽くして天命を待つ」ことをしなければ、子どもは窮屈でしょう。
さあ、童観音の前で、今日を始めよう。子どもは、「有能で、豊饒で、大人を見守ってくれる存在」なのだから!

教育的断片   須藤 孝也

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
1月の教育的断片です。
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 先日は渡辺和子さんの『あなただけの人生をどう生きるか』という本を読んでいましたら、「個を確立するためには、自分のかけがえない価値への自信がなければならない。他人との比較における自信は、他人より優れている間はよいが、いったん自分に勝るものが現われた途端に崩れてしまう」とありました。これはいわゆる「承認」の重要性について述べたものです。

 昨今では、いたるところで「他人を否定してはいけない」という浅薄なモラルが盛んに語られますが、そんなことよりももっともっと大事なのは、誰かに関わる際には、承認をもって関わることです。あなたがいてくれて嬉しいという承認、あなたがああやってくれて助かったという承認、あなたがああ言ってくれてよかったという承認。そんな承認が、現代の子どもたちや若者たちにはまったく足りていません。彼らは圧倒的な承認欠乏状態にあります。

 承認は、冒頭の渡辺さんの言葉にもあるように、本質的に他人と比較して認められる「能力」や「成果」に関わることではありません。ですから、うまくできたら褒めるという仕方(それは、よく走った馬ににんじんをあげるようなものです)では承認していることを示すこととはできません。他人よりも「優れている」ことを誇っていても、それは実はいつ壊れるともわからない非常に脆いものにすぎません。

 家庭で十分な承認を身に受けた子どもは、学校における承認ゲームに積極的に参加することができます。たとえ思うように承認が得られなくても、家に帰ってくれば承認に包まれ、エネルギーをチャージして、また次の日に学校での承認ゲームにチャレンジしていくことができます。そしてそこで集団や社会内での承認の得方を身につけていくことができます。

 どうも現代では、人々の目は能力や成果にばかり向いているようです。昭和の頃にはまだあった承認の文化がどんどん痩せ細っていっているように感じます。子どもたちがどこか生き生きしていないと思われる場合は、その子が身に受けている承認がどのようなものか、想像してあげてください。そうすればきっとその子には承認が足りていないことにお気づきになると思います。子どもたちには、どうかできるだけたくさんの温かい承認を与えてあげてください。
 

今月の絵本 なめとこ山の熊  作:宮沢賢治 絵:あべ 弘士

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