こぐま組春の懇談会 資料①~③

3歳以上の保育 人間関係

➄友達のよさに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。保育所は集団での生活の場であり、様々な人々と出会う場である。そこで、子どもは自分と異なる様々な個性をもった友選と教することになる。
保育士等や友達と共に生活する中で、初めは「〇〇ちゃんは鉄棒が上手」「〇〇ちゃんは歌が好き」といった表面的な特性に気付くことから、次第に、「〇〇ちゃんならいい考えをもっていると思う」「気持ちの優しい〇〇ちゃんならこうするだろう」など、次第に互いの心情や考え方などの特性にも気付くようになり、その特性に応じて関わるようになっていく。
そして、遊びの中で互いのよさなどが生かされ、一緒に活動する楽しさが増してくる。そのためには、友達と様々な心を動かす出来事を共有し、互いの感じ方や考え方、行動の仕方などに関心を寄せ、それらが行き交うことを通して、それぞれの違いや多様性に気付いていくことが大切である。また、互いが認め合うことで、より生活が豊かになっていく体験を重ねることも必要である。さらに、子どもは周囲の人々に自分がどう見られているかを敏感に感じ取っており、よき理解者としての保育士等の存在は大きい。自分に愛情をもって温かい目で見守ってくれる保育士等との生活では、安心して自分らしい動きができ、様々な物事への興味や関心が広がり、自分から何かをやろうとする意欲や活力も高まる。そして、一人一人のよさや可能性を見いだし、その子どもらしさを損なわず、ありのままを受け入れる保育士等の鉄勢により、子ども自身も友達のよさに気付いていくようになるのである。

保育所保育指針より抜粋

78 反対意見にも耳を傾ける

反対派を全部やっつけてしまうと、ファシズムになるんです。
反対派があって、バランスよく、うまくいっている場合こそが健康といえるんです

ある事柄について、丁々発止の議論をするのは良いことでしょう。
しかし、あまりにも加熱しすぎて、賛成派、反対派を「敵は味方か」と決めつけるようになれば、冷静な話し合いなどできなくなります。やなせたかしはこうした極端な議論は避けるべきだと考えていました。「反対派を全部やっつけよう」という発想はファシズムにつながるからです。反対派も賛成派も「うまくやっていく」ことが大切なのだと語っています。

「アンパンマン」に登場する悪役はばいきんまんですが、お話の最後はアンパンマンがアンパンチを繰り出し、ばいきんまんが「バイバイキーン」と言いながら飛び去って行くシーンで終わります。他のヒーローもののように、ばいきんまんが死ぬこともなければ、粉々になることもありません。これは、人間の体には良い菌と悪い菌がいて、
そのバランスが保たれてこそ健康なのだという、やなせたかしの持論にもとづいています。悪を滅ぼすのではなく、懲らしめて共生するくらいがちょうどよいということでしょう。善悪の二者択一ではなく、反対派の声にも耳を傾てみる。その姿勢こそが、健全な社会を作るのです。

やなせたかしの言葉/桑原 晃弥 

今、4歳児保育で大切にしたいこと ー和光鶴川幼稚園の教育ー
1 4歳児に訪れる「心」の質的転換

子どもたちの育つ姿を見ていると、そこには縦にグッと伸びていく時期と、横に太っていく時期とが、一定の順序性を持ちながら存在していることがわかります。

もちろん、ここで「縦」に伸び、「横」に太っていくのは、子どもたちの身長や体重のことではありません。子どもの「心」の育ちに質的転換が起きる時期と、経験を拡大させながら「心」を太らせる時期との、二つの時期があるということなのです。そしておそらくこの本が対象とする4歳という時期は、2歳のころを中心に「心の形」を発展させていく幼児前期(1歳半~3歳)と同様に、「心の形」を大きく変えながら自分を創りだしていく「心」の質的転換期にあたるのだろうと思います。

たとえば4歳児と対をなす2歳の子どもたちは、「ボクノ、ボクノ」と自己主張の塊のように生きてきた自分の「心」に、「カシテ」「ジュンバン」といった社会的知性を新たに書き加えながら自分を形成していきます。アンリ・ワロンという心理学者は、こうした2歳のころに訪れる発達の姿を、「自我(自己主張)」しかなかった自分の心に、「第二の自我」を付与する姿として整理しましたが、おそらく2歳という時期は、そういう形で子どもたちが、「心」の質的転換期をむかえる時期なのだろうと思います。

ところが同じように縦にグッと伸びる時期だといっても、4歳児の場合は少し事情が異なります。2歳のころに獲得した「自我」と「第二の自我」の間を揺れながら生きてきた自分を統合し、自己決定する主体へと発達させていくのが4歳児なのです。私自身はこれを「自己内対話能力」の獲得という言葉で表現してきましたが、たしかにそこには、考えながら自己決定する主体へと自分自身を成長させていく、4歳児の「心」の育ちが存在しているのです。もっとも、こんなに大きな変化が訪れる4歳児期であるにもかかわらず、なぜかこれまで保育の世界では、3歳児や5歳児に比べて4歳児保育の注目度は低く、この時期の保育実践の意義と課題は、明確に語られてこなかったように思えます。それはおそらく、この時期に訪れる変化が、一般に「内言」と呼ばれる「思考する言語」の育ちと深く関わりながら、「静かな革命」として訪れることと無関係ではないのだろうと思われます。しかもそうした「静かな革命」が、クラスの中で時間差をもちながら訪れてくるわけですから、保育者にはその瞬間をドラマティックに捉えることが困難になってくるのです。

和光鶴川幼稚園 子ども理解と大人の関わり
葛藤をチカラに 4歳児

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