資料no.1
やり抜く子は目の前のおやつを我慢し、 投げ出す子は目の前のおやつを食べる。
「うちの子は、ずっと欲しいおもちゃがあるのに、お小遣いをもらったらすぐにお菓子を買ってしまって、お金がたまらないんです」
そんな話を、親御さんから聞きました。
その時は笑い話だったのですが、自分の欲求や衝動をコントロールする「我慢できるカ( 自制心) 」は、決めたことをやり抜く力に大きく影響します。
ただ、誤解してはいけないのは、「やり抜く子= 我慢強い子」ではない、ということです。
僕の教室にいる「やり抜く子」たちを思い浮かべたら、その子たちはやりたくないことは「やりたくない!」とはっきり言うし、やりたいことを我慢していません。やりたい気持ちを解放して、夢中になって取り組んでいます。
「やり抜く子」はどんなことでも我慢するわけではなく、本当にやりたいことのために「目の前のおやつ」を我慢するのです。ですから、基本的に子どもがやりたくないことを「我「慢しなさい!」と押しつけるのは逆効果です。
それでは、どうしたら子どもがやりたいことを実現するために必要な「我慢できる力」を育めるのでしょうか。
「我慢できる力」を育む上で大切なことを3つ紹介します。
①我慢させない
我慢させるよりも、子どもの「やりたい!」をたくさん叶えることを大切にしましょう。「おもちゃで遊べた」「ブランコに乗れた」「話を聞いてもらえた」といったささいなことでいいので、できる限りたくさん子どもの欲求を満たしていく。やりたいことをたくさん叶えていくことで、本当に好きなことが見つかるのです。
「やり抜く子」は、やりたいことを実現するためなら、たとえやりたくないことでも頑張る力を持っています。
しかし、目の前にあるやりたくないことの先に、楽しいことがなけれ好きなことがあるから、つらい練習にも耐えられるのです。好きなことや夢中になれることを見つけることが、我慢できる力を高める最大の近道です。
やりたいことや好きなことの見つけ方は、第4章で詳しく紹介しますが、子どもの「やりたい」を我慢させずにたくさん叶えてあげましょう。
②子どもとの約束を守る
「明日、買ってあげるね」というような、子どもとした約束を守ることも大切です。
望んでいるものを与えられたり約束を守ってもらえた経験が多い子は、いま我慢しても欲しいものは手に入ると思えるようになります。冒頭の話で言えば、目先のおやつではなく、頑張った先のおもちゃを手に入れることができるようになるのです。
③小さな達成感を体験させる
「頑張ってできた!」という達成感をたくさん経験させましょう。その小さな達成感の積み重ねが、「いま我慢して頑張ったら、もっと楽しいことがある」という思いにつながっていきます。苦しいことも、自分で「楽しい」に変えて努力することができるようになるのです。
たとえば、漢字検定に合格する”という目標があったとしたら、「5分で漢字10コ書けるかなぁ?」というように、最初は短い時間で区切って、簡単なことに挑戦させましょう。
そして、「頑張ってるね」「だいぶ覚えられたね」と、取り組んでいるプロセスや、成長した部分をたくさん見つけて褒めてあげましょう。
普段から欲求が満たされている子は、目先の苦しいことにも耐えられます。
一見矛盾するように思えますが、子どもが興味を持っていることを我慢させないことが、我慢できる力を伸ばすのです。
『やりぬく子と投げ出す子の習慣』岡崎大輔 著 より
資料no.2
悩み 朝から晩まで「何で」「どうして」を連発
-行動の意味-
好奇心、想像力が育ってきた証です。
好奇心が旺盛になり、思ったことや考えたことも言葉でいえるようになってくるので、生活のなかで思いついた疑問や感じたことを、次々に発信してきます。この時期の子どもにとって、自然界は不思議でいっぱい! 「どうして空は青いの?」「何で雨が降るの?」など質問が増えてきます。
また、体や生と死に対する関心も高まり、「赤ちゃんはどこからきたの?」「ママも死んじゃうの?」「私には何でおちんちんがないの?」などと、簡単に説明できないような難しい質問もたくさんしてきますが、子どもが普段、何をどう感じているか、何をきっかけにしてその疑問がわいてきたのかが見えてきます。
3歳の「何で?」にはものごとを科学的に知りたいという願いよりは、その子なりの想像力を働かせて知ろうとする意欲が旺盛なので、質問を受け止め、夢を壊さないように、想像力を楽しむユーモアのある答え方をしてあげましょう。
子どもの「何で?」にきちんと向き合い、聞くことで、 子どもの好奇心はぐんぐん高まり、いろいろなことに関心を強め、考えようとする力が伸びていきます。
対応法わからなくても、一緒に考えようとする姿勢が大切
忙しいと「あとでね」「そんなことはどうでもいいでしょ」などといってしまうママもいると思いますが、ごまかしたり、無視したり、笑って、はぐらかしたりするのはよくありません。
質問することがいけないことだと感じとらせてしまうと、段々質問しなくなってしまいます。
難しくて答えにくい質問であっても、「本当にどうなんでしょうね」と一緒に考えたり、楽しむような対応をしてもらうことを子どもは求めています。
この時期は科学的に正しいことをいっても、理解できる年齢ではないので、「いい質問だね」とまずは質問したことをほめましょう。そして、「何で雨が降ってくるの?」というような質問には、愛人化してわかりやすく「お空の神様が悲しいって泣いているからかしらね」などと答えてあげるのもいいですね。
ときには、「何でだと思う?」と反対に質問してみるのもいいでしょう。
「ママもよくわからないんだ」と一緒に考える姿勢を子どもに見せ、大人にもわからないことがたくさんあるということを知らせていくことも大事です。
また、小さいころからわからないことを図鑑や絵本で調べる方法を身につけていくとわからないことは自ら進んで調べる習慣がつくようになるでしょう。
『0歳児から5歳児 行動の意味とその対応』今井和子 著 より