2歳児最後の懇談会資料① 子どもの自立に大切な姿勢

子どもの自立に大切な姿勢

最後に、いくつか実際のエピソードを紹介しながら、「去られるためにそこにいる」ということについて考えてみたい。

ケース1
 当時小学二年生だった息子と二人で旅行に行ったときのこと。泊まったホテルの朝食はバイキング形式だった。彼がどう動いて何を食べるのか興味があったので、自分はコーヒーを飲みながら見ていることにした。
 彼はしばらくほかの人たちを観察していたが、「何でもええんか……」と言って立ち上がり、歩いていった。彼が向かったのはオムレツをその場で作ってくれるコーナーだった。数人が並んでいた。
 彼は列の後ろにおそるおそる並んだが、前の人との間が少し開いていた。小学校高学年ぐらいの男の子二人が、彼の前にさっと入り込んで並んでしまった。彼は少し驚いたようだったが、今度は隙間をつくらないように、その子たちの後ろにつめて並んだ。少し混雑しており、二~三分して、ようやく次が彼の順番というところまできた。ところが、彼は急に列を離れた。お皿を取りにいったのだった。たしかに並んでいる人はみなお皿を持っている。彼はもとの場所に戻るのではなく、律儀にもまた列の最後尾についた。今度は前の人との間に隙間はない。
 さらに数分してようやく彼の順番となった。料理人から何か尋ねられて戸惑っている。「具には何を入れるか?」と聞かれているようだった。指さして何か選んでいる。家では見たことがないような真剣な表情だ。お皿に入れたオムレツを大事そうに持って、彼は席に戻ってきた。その後、オムレツの列に並んで席に戻って食べる、これを何回も繰り返した。最後に水をおかわりして飲んで、その日の朝食はおわった。
 翌日の朝食では、彼は初めから迷わず皿を取りにいき、果物などをまず食べていたが、すいた頃を見計らってオムレツの列に並んだ。チーズやらマッシュルームやらコーンやら一通り全部を試し、ケチャップもかけたりしてオムレツを堪能していた。
 親としてはいろいろと助言したり、助け舟をだしたくなるところだけれど(列に割り込まれたり、並んでいたもとの場所にもどれなかったり)、見ていると子どもはさほど苦にしていないようだった。具体的にあれこれアドバイスせずに、離れて見守っていること、もしも必要なときは頼れるだろうと子どもに思ってもらうこと、親の役割はその程度でいいのだなと、実感した場面だった。

著書:去られるためにそこにいる  子育てに悩む親との心理臨床
著者:田中 茂樹

令和8年2月18日(水)
こりす組2歳児 最後の懇談会資料①

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