甘えさせと甘やかし、どこが違う?
「甘えさせ」は、子どもが自立していくために、“大切なこと”です。
子どもは、悲しいことや、いやな思いをした時、大好きな大人に抱っこされたり、スキンシップをしてもらい、なぜ困っているのかをわかってもらうことで、動揺して生じた心の隙間を埋めることができます。そんな時、大人はその思いをしっかりと受けとめて、安心感をじゅう電してあげると、つらさを乗り切る心の強さが生まれます。自立しようとするけれど、一人で立ち上がるのは不安です。その不安を乗り越えるために安心感をじゅう電しなければなりません。そこで、子どもは甘えたりするのです。
(1)甘えさせの事例
自分のことは自分ででき、いつも友だちのことも手伝ってあげている4歳児のB子に、先月妹が生まれました。妹の誕生をとても喜び、可愛がっていましたが、最近トイレの後に、パンツやズボンをはこうとしません。保育者が「B子ちゃん、パンツはこうね」といっても、B子は「……」首を横に振って、じっと保育者を見ています。保育者「それじゃ、先生が手伝ってあげようか」、B子「うん」とにっこり。パンツやズボンをはかせてもらうと、満足したように外に走っていきました。
姉になったという嬉しさではりきっているものの、本音は甘えたい気持ちもあるのでしょう。自分でできることも、時には甘えてやってもらいたくなる時もあります。その甘えたい気持ちがじゅう足することが、先に進むきっかけとなり自立していきます。安心感を満たしてもらえないと、不安で離れられなくなります。成仏できない幽霊のように、いつまでもまとわりついてしまうことでしょう。
「甘やかし」は、子どもの自立を“妨げること”です。子どもは何か悲しいことやつらいことがあった時、心の安定基地として大人を求めます。その時に、忙しいからとか、今は面倒だからなどと、ついお金やものなどで代償してしまうことはないでしょうか。
◆事例 りょうちゃん(1歳10か月)の連絡帳から
園から帰宅すると、とにかく執拗にまとわりついてきます。ちょっとかまってやると少し満足するのですが、またすぐに、「抱っこ」「おんぶ」をせがむので夕食の支度が進まず、いけないと思いつつもテレビに気を向けさせている毎日です。
*園から
大人が一番忙しそうにしているときに限って子どもは甘えてきますね。ついテレビに子守りをさせてしまうとおっしゃられるお母さんの悩み、本音を書いてくださり、嬉しく思います。が、まず抱っこしてほしいというりょうちゃんの気持ちを受けとめて、「ちょっとだけだよ」という条件つきではなく、「わかった、わかった。じゃあぎゅうしてあげようね」と向き合って抱きしめてあげるのはどうでしょうか?
甘えさせは、子どもの安心感をじゅう電する働きだといわれています。甘えたい気持ちを受け入れてあげると、案外早く離れるかもしれませんね。どうしても離れられない時は大変かもしれませんが、おんぶでもいいですね。とてもいい課題を提供してくださり、ありがとうございました。また今度の懇談会にぜひ話題にして、皆さんで語り合いたいですね。
「甘やかしは過保護、子どもに任せられないで大人が、必要以上にてだしをしたり世話を焼くこと。『もう待ってられないからお母さんがやってあげるよ』など。また親が自分の不安を投影し、『危ないからこれはダメ、あれはダメ』と子どもを囲い込む。さらに忙しくて面倒みられないからとお金やもので代償しようとすること」(高垣忠一郎『揺れつ戻りつ思春期の峠』新日本書店、61~65貢)
かわいそうだから、かわいいからなど、大人の都合で何でもしてしまうことは甘やかしです。
著書:0.1.2歳児の世界
保育のいとなみ その1 愛着形成と自我の育ち
今井和子 編著 大須賀裕子・小野﨑佳代 著
令和8年2月18日(水)
こりす組2歳児最後の懇談会資料②