2015年11月16日 ( 月 )
沢山の人が参加してくださったスコラ。
テーマ「生活行動~今 見落としているものは~」
私たちが、ついついいつかしら子どもに対して優位な立場になっていることを涙しながら憂いていたスコラでした。
子どもと共に育つことを力説されていた園長先生です。
まとめの言葉をのせます。
『 育ての心 』
自ら育つものを育たせようとする心。それが育ての心である。
世にこんな楽しい心があろうか。それは明るい世界である。温かい世界である。
育つものと育てるものとが、互いの結びつきに於(お)いて相楽しんでいる心である。
育ての心。そこには何の強要もない。無理もない。育つものの偉(おお)きな力を信頼し、敬重(けいちょう)して、その発達の途(と)に遵(したご)うて発達を遂(と)げしめようとする。役目でもなく、義務でもなく、誰の心にも動く真情である。
しかも、この真情が最も動くのは親である。ついで幼き子等の教育者である。そこには抱く我が子の成育がある。日々に相触(あいふ)るる子等の生活がある。斯(こ)うも自ら育とうとするものを前にして、育てずしてはいられなくなる心、それが親と教育者の最も貴(とうと)い育ての心である。
それにしても、育ての心は相手を育てるばかりではない。それによって自分も育てられてゆくのである。我が子を育てて自ら育つ親、子等の心を育てて自らの心も育つ教育者。育ての心は子どものためばかりではない。親と教育者とを育てる心である。
倉橋惣三選集第三巻
フレーベル館刊より