無期限を生きる 「いつになったら…」
家庭指導グループのU子ちゃんが、カップのお茶を勢いよくぱっとこぼして、けらけらと笑ったのは、おかあさんがお迎えに来た時だった。はじめてのことだったようで、おかあさんはひどく驚いたようすで「どうしてこんなことをするのでしょう!」といった。幼い子どもが水をこぼしたり、物を投げたりするのは、成長の中で出てくる普通のことで、今までやったことがないなら、今それをやっているのだろうと話した。その後もU子ちゃんはお迎えの時に、おかあさんたちがざわめいている真ん中でぱっと水をまいたり、人にかけたりして笑った。おかあさんが驚いて止めようとすると、それに挑むように笑い、お弁当の時にお茶をこぼして歩くことも続いた。
私たちスタッフの話し合いの中では、枠の中から溢れ出ようとする表現ではないかという意見が出た。また自分がこんなことをしても受け入れてくれるのか、確かめているのではないか。また言葉を使わないで「こんなに楽しく自由に遊んだのよ」と言う事を表現しているのではないか。などの見方が話し合われた。どれも確かなことではないが、共通しているのは、U子ちゃんが水をこぼすことで、心の中の何かを表現しようとしているのだから、その行動を否定的に捉えないでいたいということであった。子どもの行動の解釈は、だれにも何が正しいのか分からない。私は正しいかどうかよりも、大切なのは、子どもを生かすものであるかということだと思う。
私たちの考え方や見方は、その時々におかあさんに伝えていたが、おそらく「これでいいのかしら、いつになったら終わるのだろうか」という思いが心の中には当然あったことと思う。
参照 「育てるものの日常」 津守房江